病棟 vs 訪問看護 どちらが自分に合う? 経験者が本音で比較!

転職者の声

今回は現役の訪問看護師の鈴木さん(仮名)に記事を執筆いただきました。

1 私のキャリアと皆様へ
2 病棟看護の特徴と向いている人の傾向
3 訪問看護の特徴と向いている人の傾向

 

1.私のキャリアと皆様へ

病棟と訪問看護、どちらが自分に合っているのか悩んでいませんか?
そんな疑問を抱える現役の看護師さん、これから看護師を目指す方も多いと思います。最近では、訪問看護という働き方が注目されていますが、病棟とは環境も役割も大きく異なり、求められるスキルや働き方も変わってきます。だからこそ、「向いている人」「しんどく感じる人」がはっきり分かれるのも事実です。私は大学を卒業後、事務職として約5年間勤務し、結婚を機に退職しました。

その後、人生の転機となった離婚をきっかけに、「子ども2人を育てながら、自立して生きていく力をつけたい」と強く思い、30代半ばで看護学校へ進学しました。看護師免許取得後、まずは急性期病棟や地域包括ケア病棟で約5年間の経験を積みました。その後、在宅の訪問看護ステーションへ転職し、現在は施設内での訪問看護に従事しています。また、訪問看護を中心に、特別養護老人ホームでの短期勤務をはじめ、訪問入浴やデイサービスでの単発バイトなど、在宅・介護領域の多様な現場を幅広く経験してきました。病棟から訪問看護に転職した当初は、色々と不安もありました。でも、現場での経験を重ねるうちに、今では、自信を持って単独で訪問できるようになりました。そして、業務に追われていた病棟時代とは異なり、利用者さんとじっくり向き合うことができ、自分が理想としていた看護ができています。

この記事では、私の実体験をもとに、病棟と訪問看護の違いや、それぞれに向いている人の特徴、やりがいとしんどさ、そして私が訪問看護を選んだ理由を、正直にお伝えします。また、ライフスタイルや価値観に合わせて「自分に本当に合う働き方」を見つけるヒントも、あわせてお伝えできればと思います。これからのキャリアを考える上で、少しでも参考になれば嬉しいです。


 

2.病棟看護の特徴と向いている人の傾向

①治療優先の「医療の最前線」 常に緊張感がある現場

病棟は、検査・手術・点滴管理など、治療が目的の場です。看護師は、スケジュールに沿って処置やケアを行い、治療がスムーズに進むよう日々取り組んでいます。そのため、患者さん一人ひとりの生活背景や気持ちにじっくり向き合える時間は限られてしまうのが現実です。

向いている人の傾向:
・緊張感のある現場で自分を高めたい人
・明確な目的や流れがある環境に安心感を感じる人


 

②業務の嵐!スピードと効率が勝負の毎日

病棟看護はナースコール対応、バイタル測定、記録、点滴や内服の管理など、日々の業務が非常に多く、次々とタスクをこなしていく力が求められます。また、勉強会や看護研究は勤務時間外に行われることも多く、資料作成や発表準備などに業務後や空き時間など多くの時間を費やす必要があります。

向いている人の傾向:
・忙しさにやりがいを感じる人
・マルチタスクが得意な人
・スケジュールに沿って動くのが好きな人
・業務時間外の勉強会や看護研究にも、学びとして積極的に取り組める人


 

③「一人じゃない」安心感 チームで支える病棟看護

病棟では、医師や看護師が常に近くにいて、相談・連携がしやすい環境です。看護師ごとに受け持ちの患者さんはいますが、病棟全体で情報を共有しながら、チームで支え合う看護が実践されています。自分の受け持ち患者さんだけでなく、周囲の患者さんの変化にも目を配り、スタッフ全員でフォローする体制が整っているのが特徴です。特に新人や若手へのサポートが手厚い病院も多く、安心して経験を積むことができます。

向いている人の傾向:
・チームで働くことに安心感を持てる人
・仲間と一緒に学びながら成長したい人
・教育制度が整った職場で基礎から学びたい新人・若手看護師


 

④生活リズムは乱れがち 体力勝負な一面も

多くの病棟では2交代・3交代制の夜勤を含むシフト勤務が行われており、生活リズムが乱れやすくなります。夜勤明けの疲労や、休日がカレンダー通りに取れないことによる家庭との両立の難しさもあります。さらに、移乗・体位変換、長時間の立ち仕事など身体的な負担も大きいです。

向いている人の傾向:
・夜勤を含むシフト勤務に無理なく対応できる人
・体力に自信がある人

 

3.訪問看護の特徴と向いている人の傾向

①「暮らし」を支える看護、医療だけがすべてじゃない

訪問看護では、サービスを受ける方を「利用者」と呼びます。訪問看護では、病院のように医師主導の治療が中心ではなく、利用者さんやご家族の「暮らし」や「希望」を第一に考えた看護が求められます。「最期まで家で過ごしたい」「治療よりも穏やかな生活を優先したい」など、多様な価値観に寄り添い、生活と医療をどうバランスよく支えるかが看護師の腕の見せどころです。

向いている人の傾向:
・「治す」より「支える」看護に魅力を感じる人
・利用者の人生観や生活スタイルに寄り添える人
・丁寧でじっくりとした関わりを大切にしたい人

 

②一人で訪問、すべては「自分の目と判断」で

訪問看護は基本的に単独訪問です。病棟のようにすぐに医師や先輩に相談できる環境ではないため、観察・判断・対応をすべて一人で行う力が求められます。急変時にはその場で応急処置を行いながら救急搬送の手配をするなど、冷静さと判断力、そして行動力が必要になります。

向いている人の傾向:
・一人での判断や行動に自信がある人
・責任を持って自立して働ける中堅看護師

 

③ご家庭が「職場」に 柔軟な対応力が命!

訪問看護では、物品や設備が限られた利用者宅でケアを行います。医療物品が限られる中で、可能な範囲での再利用や在宅ならではの工夫(例:タオルやビニール袋を活用したケリーパッドなど)が求められる場面もあります。訪問先の環境もさまざまで、清潔で整ったご家庭もあれば、衛生状態に不安を感じるご家庭もあり、状況に応じた柔軟な対応力が重要です。

向いている人の傾向:
・限られた環境でも工夫できる柔軟性がある人
・ご家庭に応じた衛生管理ができる人
・ご家庭に溶け込むコミュニケーションが得意な人

 

④訪問看護の要!多職種連携と情報共有

訪問時間は1件あたり30〜90分と限られていますが、その時間は、利用者さんと丁寧に関われるのが特徴です。一方で、1日の訪問件数や移動時間を考慮しながら、自分でスケジュールを組み立てていく力も必要です。利用者さんの生活は、ケアマネジャーを中心に多職種が連携し、チームで支えています。看護師もその一員として、主治医や訪問介護スタッフ、リハビリ職などとこまめに情報共有を行いながら、柔軟に対応していくことが求められます。調整・報告・事務処理などの「見えにくい仕事」も多く、こうした裏方の業務も訪問看護師の大切な役割の一つです。

向いている人の傾向:
・タイムマネジメントや段取りが得意な人
・外部とのやりとりや連絡・報告に抵抗がない人
・訪問と訪問の間の移動を前向きに楽しめる人
・チームで支える在宅ケアに魅力を感じる人


 

まとめ

私が現場を経験して感じる訪問看護に向いてる人とは・・・
 

「治す」より「支える」看護に魅力を感じ、利用者さん一人ひとりの人生観や生活スタイルに寄り添いたいと考えられる方です。訪問看護の現場では、限られた物品や家庭環境の中でも柔軟に対応できる工夫や対応力が求められます。また、自立した判断や行動ができる中堅看護師や、研修を積んだ看護師、衛生管理を家庭ごとに調整できる繊細さ、家族の空気感に自然と溶け込めるコミュニケーション力も重要な要因の一つです。タイムマネジメントや段取りに強く、外部との連絡や報告もスムーズに行える人は、訪問看護において大きな力を発揮できるはずです。移動時間も前向きに楽しみながら、チームで支える在宅ケアにやりがいを見出せる方にオススメの働き方ですね♪

次回は私が実際に勤務した経験から、病棟・訪看で働いたメリット・デメリットをお伝えします!